ランドリープレス

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2026年10月23日

  • 【満川社長の真面目でおかしな日記】第1章 100円玉を数えた夜|水巻店オープン秘話

    こんにちは。コインランドリーチェーン「ランドリープレス」代表取締役の満川です。

     

    「会社の代表取締役」や「チェーンの社長」という言葉を聞くと、みなさんはどんな姿を想像されるでしょうか。綺麗なオフィスで革張りの椅子に深々と腰掛け、PCの画面で売上グラフを眺めながら「うむ、今月も順調だな」とコーヒーを嗜んでいる……そんなスマートな姿を想像されるかもしれません。

     

    ですが、現実は180度違います。

     

    私は代表取締役になったばかりの新米経営者で、経営の難しさに日々頭を悩ませながら、勉強と実践を繰り返している真っ最中です。そして会社を経営する傍ら、個人としてもコインランドリーを2店舗経営している「超・現場主義」のオーナーでもあります。

     

    私の日常は、スーツを着てスマートに指揮を執る時間よりも、作業服や動きやすい格好に身を包み、乾燥機のフィルターにぎっしり詰まった綿ホコリと格闘し、床に落ちた髪の毛を一毛打尽にし、深夜の店内でジャラジャラと100円玉を回収している時間の方がはるかに長いのです。

     

    今回は全5章にわたる超ロングなブログ連載の「第1章」として、私とランドリープレスの原点である「水巻店」のオープン秘話、そしてオーナーとして現場に立ち続ける泥臭くも愛おしい日常について、たっぷりとお話しさせてください。

     

     

     

     

     

    1.「本当に客は来るのか?」オープン前夜の胃が痛いほどの不安

     

    時計の針を、少しだけ巻き戻させてください。今でこそ多くのお客様にご利用いただいているランドリープレスですが、その第一歩は、私がまだ会社の「副社長」だった頃に遡ります。

     

    当時、私たちは「ランドリープレス水巻店」のオープンに向けて、怒涛の準備を進めていました。最新鋭の洗濯乾燥機を並べ、内装にもこだわり、看板が夜の街にぽっと明るく灯ったとき、胸の中に込み上げてきたのは達成感……ではなく、猛烈な「不安」でした。

     

    「本当に、お客様は来てくれるのだろうか?」

     

    コインランドリーというビジネスは、店舗を構えて機械を置けば、あとは勝手にお客様が来てくれる「不労所得」のように思われがちです。しかし、オープン直前の誰もいない静まり返った店内にポツンと立ったとき、押し寄せてくるプレッシャーは想像を絶するものでした。

     

    機械のリース代、家賃、光熱費、内装費……頭の中で電卓を叩けば叩くほど、胃がキュッと締め付けられます。ピカピカに磨き上げられたドラムのガラス面に映る自分の顔は、明らかに緊張で引きつっていました。

     

    「誰も来なかったらどうしよう」

    「近所の人に『あんな場所にコインランドリーなんて作って』と言われたらどうしよう」

     

    夜、静かな店内で機械の点検をしながら、私は祈るような気持ちでオープン日を待っていたのです。

     

    2.奇跡の1ヶ月目。梅雨前線とともに訪れた「100万円」の歓喜

    そして迎えたオープン。季節は、コインランドリー業界にとって最大の勝負どころである「梅雨」の直前でした。オープン初日、ドキドキしながら店の様子を見守っていると、一人、また一人とお客さまがドアをくぐってくれました。近所のおばあちゃんが

     

    「綺麗なお店ができたねぇ」

     

    と声をかけてくださり、大きな買い物袋いっぱいに洗濯物を詰めたお母さんが来店してくださいました。

     

    そして、運命の梅雨時期がやってきました。連日の雨、雨、雨。部屋干しの生乾き臭に悩まされるご家庭が続出する中、水巻店の駐車場は連日満車状態になりました。大型の乾燥機が、ゴロゴロと心地よい音を立ててフル回転を始めます。

     

    結果はどうだったか。なんと、オープンたった1ヶ月目で「売上100万円」という大記録を達成したのです!

     

    あの時の衝撃と喜びは、今でも忘れることができません。深夜、一人で店舗に赴き、売上金を取り出したときのズッシリとした重み。売上集計機が弾き出す「100万円」という数字を見た瞬間、思わず誰もいない店内で「よっしゃあ!」と拳を突き上げました。

     

    100円玉がぎっしり詰まった集金箱は、とにかく重い。手首が千切れそうになるほどの重みですが、その重みこそが「100万円分のお客様の困りごとを解決した証」であり、「私たちの店がこの街に受け入れられた証」でした。不安で胃を痛めていた日々が、一瞬で報われた瞬間でした。

     

    3.本業が終わったあとの「夜の部」〜一人きりの水巻店で汗を流した日々〜

    初月100万円というロケットスタートを切った水巻店ですが、そこからが本当の戦いの始まりでした。

     

    当時の私は副社長ですので、日中は会社としての本業や業務が山積みです。デスクワークや打ち合わせを怒涛の勢いでこなし、時計の針が夜の8時や9時を回った頃、私の「第二のシフト」が始まります。

     

    車を走らせて、夜の水巻店へ向かうのです。

     

    昼間の賑わいが嘘のように静まり返った深夜のコインランドリー。自動ドアが開くと、洗剤の甘い香りと、乾燥機が残したほのかな温もりが私を迎えてくれます。そこから、作業着に着替えて夜な夜な掃除と集金を開始します。

     

    〇ドラムの中に忘れ物がないか一回一回覗き込む

    〇床に落ちた髪の毛やホコリをモップで念入りに履き掃除する

    〇たまった100円玉をジャラジャラと回収し、金庫へ運ぶ

    〇叩けば粉塵が舞うフィルターを一枚ずつ取り外し、ブラシで擦り上げる

     

    誰に見られるわけでもありません。「副社長なんだから、誰かバイトでも雇ってやらせればいいじゃないか」と言う人もいました。

     

    でも、私はどうしても自分でやりたかったのです。

     

    夜の静寂の中で一人、汗を流しながら店内を磨き上げていると、不思議と心が落ち着きました。ドラムのガラスを雑巾で拭きながら、「今日もお疲れ様、明日もよろしくな」と機械に話しかけるような時間を過ごすことで、私はオーナーとしての覚悟と、店への愛着を深めていったのです。

     

    4.店主の朝(と夜)の敵:「一毛打尽」と綿ホコリの小宇宙

    さて、コインランドリーの清掃において、最も泥臭く、そして最も奥が深い作業。それが「乾燥機フィルターの清掃」です。

     

    コインランドリーの大型ガス乾燥機は、家庭用の電気乾燥機とは比べものにならない強力な温風をドラム内に送り込みます。その風量は、衣類を浮き上がらせて舞い上がらせるほどです。その結果、衣類の繊維の間に入り込んだ目に見えないチリやホコリ、そして抜け落ちた繊維が、すべて背面のフィルターへと集約されます。毎日の清掃でフィルターカバーを外すと、そこには

     

    「厚さ数センチの綿ホコリの絨毯」

     

    が完成しています。これを専用のブラシや手でペリペリペリ……と剥がしていくのですが、この作業が実に深い。

     

    「ほう……今日のホコリは少しグレーがかっているな。冬物の黒いコートが多く回ったのかな」

    「おや、今日はピンク色の綿ゴミが多いぞ。可愛らしいタオルケットでも乾かしたのかな」

     

    綿ゴミの層を見れば、その日どんなお客様がどんな服を乾かしたのかが、なんとなく想像できてしまうのです。

     

    まさに「綿ゴミの小宇宙」。

     

    しかし、感傷に浸っている暇はありません。このホコリを少しでも放置すると、乾燥機の熱効率が劇的に落ち、お客様の服が乾きにくくなってしまいます。最悪の場合、機械の故障や火災の原因にさえなり得ます。だからこそ、私は毎日の清掃で、この綿ホコリを「一毛打尽」にすることに情熱を注いでいました。フィルターがピカピカになり、風の通り道が確保された瞬間、「よし、明日のお客様も最高にふわふわに乾くぞ!」と胸を張ることができるのです。

     

    5.現場に立ち続ける理由

    代表取締役になりたての今も、勉強の日々を送りながら、私は定期的に現場に立ち、掃除をし、集金を行い、フィルターのホコリを剥がしています。なぜ、そこまで現場にこだわるのか?答えはシンプルです。「現場にしか、お客様の本当の声とドラマがないから」です。

     

    「あ、この乾燥機は少し異音がするな。ベルトが摩耗してきているかも」

    「ゴミ箱の近くにレシートが落ちているな。もっと捨てやすい位置に変えよう」

    「夜のライティングが少し暗いかな。女性一人でも安心して入れるように照明を増やそう」

     

    これらは、綺麗なオフィスのデスクで数字だけを眺めていても絶対に気づけません。自分が夜な夜な掃除をし、集金袋の重みを手に感じ、店舗の空気感を肌で味わっているからこそ、経営者としても次の一手が打てるようになると信じています。ポイントは、深夜に掃除をしていると、たまに遅い時間に洗濯に来られたお客様と遭遇することです。

     

    「いつも綺麗にしてくれてありがとうね」

    「この店ができてから、雨の日の洗濯が本当に楽になったよ」

     

    そんな言葉を直接いただいたとき、副社長時代に水巻店で感じたあの「100万円の感動」と同じ……いや、それ以上の温かい気持ちが胸を満たします。

     

    私が目指しているのは、ただ機械を並べてお金を回収するだけの場所ではありません。

     

    地域のみなさんの生活を支え、日々の家事のストレスを軽減し、ふかふかの洗濯物とともにちょっとした幸せを持ち帰ってもらえる場所。それこそが、私にとってのコインランドリーであり、株式会社アスファクトが運営するランドリープレスの原点なのです。

     

    次回は、「コインランドリー界・三大ミステリー事件簿!」お楽しみに!笑