
富山県高岡市で2025年4月に開業した、株式会社ダスキン高岡が運営する、ランドリープレスプロデュースのコインランドリー。
本業であるダスキン事業を通じて、長年「布団を洗う」ニーズと向き合ってきた同社が、
布団丸洗いサービスを起点に、新たなかたちのランドリー事業に挑戦した。
セルフランドリーに加え、布団クリーニングにも対応できる設備構成と動線を備えた店舗として設計。
地域の人が洗濯をしながら集い、会話し、ひと息つける、
“井戸端”のような場所を目指して作られている。
布団洗いの文化を絶やさず、次につなげていく。
そんな思いから生まれた、地域密着型ランドリー経営のリアルな事例。
井戸端ウォッシュ!!・オーナープロフィール
ダスキン事業からの新たな挑戦
本業であるダスキン事業を通じて、長年「布団を洗う」ニーズと向き合ってきました。一般家庭向けのレンタルモップが主力でしたが、その中で以前から注力していたのが布団丸洗いサービスです。年間1,000枚程の布団を宅配で受け取り、クリーニングして戻すという形で、確かな需要を感じていました。ところが、コロナ禍を境に宅配コストが上がり、料金の値上げや袋の容量制限もあって利用者が減少。「このまま布団洗いの事業を続けるにはどうすればいいか」という課題意識から、新しい事業モデルを模索することになりました。そこで目を向けたのが、コインランドリー事業です。布団丸洗いの文化を残しつつ、地域の人が集える空間をつくる。そんな方向性が、これまでの事業と親和性が高いと感じたといいます。かつてダスキンが「エアコンを洗う文化」を日本に定着させたように、今度は自分たちの手で「布団を洗う文化」を根付かせたい。その想いから、より手軽に利用できる実店舗型のコインランドリー経営へと舵を切りました。
【開業準備】比較検討とランドリープレスとの出会い
当初は、別フランチャイズも検討しましたが、エリア制限等により出店が叶わず断念。その後、テレビ番組をきっかけにランドリープレスさんを知り、すぐに問い合わせをしました。
九州からすぐに駆けつけてくれる手厚いサポート体制にまず安心感を感じました。他にも複数のフランチャイズ本部と話をしましたが、最終的に決め手になったのは、
・フランチャイズの縛りがなく、設計の自由度が高いこと加盟金
・ロイヤリティがかからないこと
・オーナー目線で伴走してくれるサポート体制
・ランドリープレス独自仕様の、192通りもの設定が可能な機器スペック
でした。
検討期間は約1年。
その間も何度も相談に乗ってもらい、事業計画作りまで丁寧にサポートしてもらいました。
【開業後の運営実態】セルフ×有人のハイブリッド
2025年4月24日の開業以来、自宅で洗うのが難しい敷布団や羽毛布団を任せられる有人の「ふとん工房」を併設したハイブリッド店舗として運営しています。
運営で最も力を入れているのは清掃で、午前中は常駐スタッフが入り、徹底して綺麗で清潔な状態を保っています。また、クリーニング品質にもこだわりました。
私自身もクリーニング師の資格を取得し、ランドリープレスの担当の方と頻繁に電話で連携。羽毛布団のトラブル時も、適切な処置法をリアルタイムで教わるなど、技術的なバックアップが運営の支えとなっています。トラブルは大きなものは少なく、お客様の決済エラーなども軽微なものが中心。有人ならではの対応と、プロ仕様の機器が融合した運営実態です。
【成功の工夫と差別化】井戸端コンセプトとダスキン顧客網で集客
店舗コンセプトは、地域の人々が集う「井戸端ウォッシュ」。
洗濯機器の機能面に加え、コミュニティスペースとしての機能を重視しました。
店内にはフリースペースを設け、1杯100円で楽しめる高機能コーヒーマシン(カフェラテ、ココア等も提供)を設置。高校生が勉強に使ったり、コーヒー目的で来店されたりする方もいらっしゃいます。また、このスペースを活用したワークショップも積極的に開催しています。先日は「無添加の柔軟剤とリップクリーム作り」を行い、他にも耳つぼジュエリーや、ビーズを使った物作りなどを実施。こうしたワークショップの主催者の方には、無料で場所を提供しています。そうすることで、小さなお子様連れからご年配の方までが自然と集まれる環境を作り、まさに店舗名通りの「井戸端」を目指しています。
集客・認知面では、
・周辺2kmへのポスティング夏
・秋にかけた市内全域へのポスティングTVCMの実施
・ダスキン既存顧客向け冊子でのPR
と、複数の施策を重ねて展開。開業時は冬の布団需要もあり利用が伸び、夏場は一度落ち着いたものの、秋には再び増加。
現在はLINEでの情報発信や口コミ強化にも取り組み、「看板や店のつくりが気になって来店した」という新規客も増えています。認知不足という課題に対して、地道な施策を積み重ねている段階です。
【店舗づくりと経営判断のポイント】清潔感と接客で差別化
店舗づくりにおいては、設計担当者にランドリープレスの他店舗事例を見せながら「ぬくもり」のある空間をリクエスト。
完全車社会である富山県高岡市の特性に合わせ、駐車場完備は必須条件でした。経営判断として「有人店舗」にしたことは大きな正解でした。特に年配のお客様は機器の使い方が分からないこともあり、スタッフが丁寧にアドバイスすることでリピーター化に繋がっています。また、午前中はスタッフが清掃に注力しており、「ダスキン事業」の強みである“徹底した清潔感”が、近隣の競合店を利用していた層をも引き込む強みとなっています。
【オーナーとしての本音】ランドリープレスの支援を支えに拡大へ
現在の売上は計画のボトムラインで推移していますが、冬物需要や衣替えを経て固定客もつき、確かな手応えを感じています。
ランドリープレスさんを選んで特によかったと感じる点は、運営元自身もクリーニング業を行う「現場のプロ」であり、実践的な技術相談ができる体制があることです。
洗い方について直接電話で相談することも頻繁にあり、羽毛布団の処理などプロならではの技術を細かく教えてもらっています。「近ければ修行に行きたい」と思うほどの手厚いサポートは、運営の大きな自信になっています。今後は、この「井戸端ウォッシュ!!」をハブ店舗とし、商圏が重ならない高岡市内にサテライトとなる小型セルフ店を展開する構想や、当初の目標であった富山市への出店も視野に入れています。
【ランドリー総研の視点】「布団洗い文化」の継承と進化。地域に根ざす“井戸端”戦略
今回の事例は、物流コストの高騰という外部環境の変化を、「実店舗への業態転換」によってチャンスに変えた、極めて戦略的なケースです。特筆すべきは、単に場所を変えただけでなく、「井戸端」というコンセプトで新たな付加価値を生み出した点です。一般的なコインランドリーが無人・効率化を目指す中、同店はあえて「有人」を選択。さらに、ワークショップへの場所提供やカフェ機能を通じて「目的がなくても行ける場所」を創出しました。これは、かつての井戸端会議のように、洗濯をきっかけに地域コミュニティを再生させる試みであり、他店が容易に模倣できない強力な差別化要因となっています。また、運営面では「清掃のプロ(ダスキン)」と「洗濯のプロ(ランドリープレス)」のシナジーが見逃せません。ダスキン社が持つ徹底した衛生管理ノウハウに、ランドリープレス社が提供する192通りの洗浄プログラムや専門的な技術指導が加わることで、セルフランドリーの枠を超えた高品質なサービスを実現しています。「近ければ修行に行きたい」という運営責任者 能登さんの言葉は、両者の関係が、技術と信頼のパートナーシップであることを証明しています。
「布団を洗う文化を創る」。
その壮大なビジョンを、確かな技術と温かいコミュニティで実現しようとする同店の挑戦は、地域密着型ビジネスのひとつの理想形と言えるでしょう。
(ランドリー総研 編集長:吉岡 文香)

